今年で4年目に突入したNHKの「迷宮美術館」についてお話します。知らない方もいると思いますので、簡単に説明すると、美術にまつわる面白いエピソードからクイズを出題し、ゲーム感覚で美術を楽しんじゃおうという番組です。口で説明しても、わかりづらいと思うので、実際に体験してもらいます。突然ですが、ここでクイズです。
[問題]
実はこの絵、一見するとタマネギや大根が皿に盛られた絵ですが、あることをすると、人物があらわれてきます。さて、どうすればいいのでしょうか?(正解は、最後)
このように、美術は高尚すぎてちょっと…、という方でも大丈夫な番組です。さて、番組内容が分かったところで、本題の制作現場の実態ですが、1回の放送につき、2ヶ月ぐらいかけます。だいたい最初の1ヶ月ぐらいは、番組で“どの絵を紹介するか”とか、“クイズはどうするか”など、スタッフみんなで考えます。具体的には、図書館や美術館に行って、面白いエピソードがないかを探し回り、レポートを作成します。この作業は、学生時代、四苦八苦した宿題のレポート提出や、卒業研究によく似ています。しかし、別に美術に詳しくなくても大丈夫。画家は四六時中、絵だけを描いてわけでありません。例えば「睡蓮」で有名な印象派の画家モネは、今で言うところのロハス的な生活の愛好者で、自分で大きな庭を造園していました。また誰もが知る巨匠ピカソは、実は“ちょい悪オヤジ”で、次々と女を渡り歩き、70歳近くなっても、子づくりに励んでいました。そんな美術の授業では習わなかったことをリサーチするので、絶対に興味が湧くテーマがあるはずです。さて、レポートが出来たら、週に一度ある会議で発表します。しばしば会議は紛糾し、10時間にも及ぶこともあり、私の場合、頭の使い過ぎで知恵熱が出ることも…。
そんなデスクワークが終わると、いよいよ取材。絵画を撮影したり、専門家にインタビューしたりと様々ですが、この番組のいいところは、なんと言っても海外に行けるところです。パリ、ローマ、バルセロナ…、ヨーロッパが多く、時には同時に2ヶ国に跨って取材に行くこともあります。特に印象深かったのは、地中海に浮かぶ島、マルタ共和国。青い空、青い海、白い壁…、「This is 地中海」ともいうべき、素敵なところでした。中世の面影が残っており、ブラッド・ピッドが出演した映画「トロイ」のロケ地にもなったところです。食事は、海の幸満載のイタリア料理。物価も安く、お勧めのスポットです。機会があったら、是非行ってみてください。
話が横道にそれてしまいましたが、取材後は、VTRの編集作業を終え、スタジオ収録。もしかしたら、憧れのタレントに会えるかもしれません。ざっと、こんな感じです。よもやま話になってしまいましたが、興味を持った方は、是非一度、番組を見てください。
NHK総合 金曜夜8時~
本も出版しました!
番組の感想など、あったら書き込んでください。
[正解]
絵を180度、ぐっと回転させると…。
皿が帽子になり、人物が見えてくるはずです。この絵のタイトルは「庭師」です。いわゆる騙し絵というものです。
コメント