世界中から多くの人がバカンスに訪れるリゾート地、北イタリアのリヴィエラ海岸。その東の 端が今回の物語の舞台。真っ青な海に面した急な山肌に、はりつくようにして築かれた家々。
狭い土地を大切に使った4~5階建ての建物は、美しいパステルカラーで彩られ、斜面に積み木のように積み重ねられている。マナローラは、世界遺産にも登録されているチンクエ・テッレの村のひとつ。その中でも最も小さく静かな村だ。村の背後に迫る急な山には、段々畑が一面に作られている。村人たちは古くから、この畑で育てたブドウでワインを作り糧としてきた。
*この山を毎日登る男がいる。元鉄道員のマリオ。マリオが山に登るのは、畑を耕すためではない。目的は山一面に作られたプレゼーピオの手入れをすること。普段、プレゼーピオはキリスト生誕の場面を小さな人形を使って箱庭のように再現するが、それがここでは山一面に作られている。 これを50年かけて一人で作ったのがマリオなのだ。マリオがここまでするのには深いわけがある。
*一方、海に情熱を注ぐ男もいる。漁師のアンドレア。彼はこの村唯一の漁師だ。村人たちは毎朝の水揚げを、港で心待ちにしている。穫った魚はその場で売る。でも、実はアンドレアは元々漁師ではなかった。ここにくるまでには色々あった。山にかける情熱と海にかける情熱の物語。今回は、美しい世界遺産の村で紡がれる、心に秘めた熱い心の物語をお届けします。
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