18歳のマーセルは、彼の愛犬ロボットが見つけた穴に、どうしても入ってみたくなった。4日後に友達3人と、穴を掘る道具を持って再びその穴を訪れ、中に入って驚いた。この4人はたちまち町の有名人になった。
このくだりを読んだとき、私はどうしてもそのラスコーに行って見たくなった。それがどこにあるのか?フランスとスペインの境あたりなのか?と。地図を見て驚いた。それはボルドーから200キロほど中に入った、ペリゴール地方のど真ん中にあったのだ。
私にはもうひとつ、夏休みで探したい興味のあることがあった。「ローマ」から「ルネサンス」の間、いったいヨーロッパの芸術家は何をしていたのか?ということだった。
いわゆる中世芸術ってナンなのか、キリスト教に支配された芸術家たちはそれで良かったのか。十字軍の功罪はナンなのか。
ということで、夏休みの行く先はフランスに決まった。レンタカーを借りて、トゥールーズからカルカッソンヌ、そしてペリゴール地方、その途中にラスコーというのが大体の旅程だった。しかし、私は学者ではなく、少し好奇心の強いだけの観光客である。これから話すのは、中世芸術探求とは関係ない旅のお話である。
カルカッソンヌは、世界遺産にもなっている城壁都市である。その昔はスペインと戦う要塞になっていたのだが、海が遠くなってその用をなさなくなったために滅んだが、その城壁のため今では観光の要所となっている。シテという城壁の中の街には土産物屋が軒を連ね、入り口にはメリーゴーラウンドが子供たちを楽しませていた。
その土産物屋の1件のおばさん、MARIONは小泉純一郎の大ファンであると訴え、その写 真集を私に見せて、この思いをなんとか小泉に伝えたい、ということだった。どこがいいの?との問いに、ALL! とりあえず、写真を撮り、メールアドレスを聞いて“努力してみる”と答えたときの彼女の喜びよう。さて、どうしたものか。
カルカッソンヌに泊まることにした目的は、城壁のライトアップを見ることにあった。フランスの夏の日は長い、9時半になってやっと日が暮れる。眺めのいい場所を陣取って暗くなるのを待ったが、通りかかったおばちゃんが言うには、昨日はトラブルがあってライトアップは無かった!?とのこと。お願い今日は点いて下さいと待つこと30分、ようやく10時に灯りが付き始めた。
次回はいよいよラスコーの洞窟へ。