イタリアのプーリア州にあるグロッタ(鍾乳洞)では、近所に住む男が、家庭で出たごみを捨てる穴が、捨てても捨てても埋まらないのを不思議に思って覗いてみると、延々と続く鍾乳洞だった、という話がありました。
人間はギリシャ神話のころから、地下に別の世界がある、ことを知っていましたので、この話も、ラスコーの洞窟の話も、発見した人のわくわく感を想像するに、私も立ち会いたかったと羨ましい限りです。
さてラスコーですが、入場券は車で5分ほどのモンティニャックのツーリストオフィスで買います。シーズンオンでしたから、当日に入れるかどうか心配だった私は、ホテルの人に頼んで聞いてもらいました。朝食も30分早く用意してもらい、早々にサルラのホテルを出てモンティニャックに向かい、目出度く10時半の英語のガイドツアーに入りました。
洞窟内は撮影禁止につき、写真もビデオもありません。そのひんやりした洞窟に入って、最初に2頭のバイソンがおしりを付合っている絵を見たときには、鳥肌が立ち、ああ本当に来たんだ、と深い感慨に満ちました。
1940年4月に18歳の少年と犬、そして3人の友達が発見してから、世紀の大発見として、国の考古学者が調査を続け、人の吐く息によるカビや石灰岩の溶解により1963年に封鎖されるまで、150万人の人が訪れたとのこと。私にとって本物を見るチャンスがあったかどうかは?です。
その後世界的な遺産であることから、近くにあった洞窟を、本物そっくりにセメントで形作り、その上に精巧に絵をコピーし、1963年に公開するに至ったのがラスコーⅡです。ですからラスコーⅡはレプリカです。しかし、訪れた人は一様に言います、「例えコピーでも感動した!」と。興味のある方は是非このサイトに行って見てください。http://www.entremont.culture.gouv.fr/culture/arcnat/lascaux/fr/
絵を描いたのはクロマニョン人です。彼らはメソポタミアから移動して、そのペリゴール地方に住み着いたとか。豊穣な土地、豊かな川の流れ、安定した気候、地形的に安全な住居が確保された、などの理由で、あたりにはたくさんの遺跡がのこされています。モンティニャックのオフィスでチケットを買うときに、他に二つの施設の割引チケットがありますが、買い損ねても大丈夫。ラスコーのチケットを見せたら引いてくれました。
ロケもそうですが、旅も入念なリサーチをしておくと満足度が高いものです。今回はレンタカーを借りてのドライブ旅行、入念なリサーチはしたものの、途中の小さな町での出会いや、ハプニングはつきものですが、それも得がたい旅の賜物です。
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