トスカーナ州の南部マレンマ地方に、硫黄泉が湧き出る小さな村がある。毎秒800リットル、 37,5度の天然温泉は、この地に居心地の良い村を生んだ。今回の物語の舞台は小高い丘にある村、サトゥルニア。
*全校生徒65人の小さな小学校。
ここで音楽と国語を教えているのが、教師のグラツィアーノ。“音楽は人生そのもの”と語る彼は、教師になって25年を超えた。数えきれない数の子どもたちに、音楽の素晴らしさを教えてきた。彼は子どもたちに、子どもの目を持ち続けた大人になってもらいたいと話す。
*ミケーレは村一番のリストランテの店主。
ナポリ近郊出身の彼は、31年前旅行の途中でたまたまこの村に立ち寄った。この村を気に入り、そして食堂がないことを知った彼は、自らリストランテを開業する。「リストランテ・ダ・ミケーレ」はマレンマ地方の食材を調理し、トスカーナの伝統的な料理で客をもてなす。「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」はマレンマ地方の肉牛を、炭火で焼いた彼の自慢料理だ。隣には息子の店も出来た。父子で美食を競い合う。
*トスカーナの自然を陶器に描いているシングルマザーのロベルタ。野の花やオリーブの枝、ぶどうの房、そして村の遺跡をモチーフにした食器類を制作している。他の街で子供を産み、生まれ故郷のこの村へ帰ってきた。一人息子を抱えての毎日だが、選択した人生に悔いはない。
トスカーナ地方の小さな村、サトゥルニア。
湯気の向こう側にある、村人たちの日常を見つめます。
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