はじめまして。去年の四月に入社して働いているTです。
さて制作会社の仕事、というと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
知人や友人に尋ねると大抵は、ロケやスタジオ撮影といった回答が返ってきます。かくいう私も入社する前は制作会社と撮影現場がほぼイコールの想像をしていました。カメラマンさんがいて、ディレクターさんがいて、さらに照明さんや音効さんがいる…といった具合でしょうか。もちろん、映像制作会社なので撮影は仕事の本丸です。
でも、そこにたどり着くまでリサーチに始まり、取材先のアポ取り、スケジュールの作成、関係各位への連絡などなど細かい作業が沢山あります。あるいは、機材・テープの準備や発注であるとか、必要な小道具の作製であるとか――こうした細かい段取りを実際に組み立てていくのがADさんです。新人で入ってくると大抵はじめに就くのがAD業務です。(とはいえ、ADというのは職種というよりは現場での役割なので、経験もスキルもバラバラです。中にはロケなどでディレクターの代行を務める人もいますし、逆にディレクターをしている人でも場合によってはADをすることもあります。)
ADさんは入ったその日から大忙し、といったことも珍しくはありません。撮影の前には多くの準備が必要となりますし、大きな企画であればそれだけ打ち合わせの数も増え、さらにその用意にも奔走することになります。また、撮影の後には編集作業があります。最近ではディレクターがPCである程度編集することも多いので、そのための準備(デジタイズ作業)があります。番組や企画、あるいは配属された現場毎に仕事の内容も変わってくるので一概には言えませんが、制作過程を円滑にすすめるために必要な段取りを整え、準備しておくのがAD業務の根幹と言えるのではないでしょうか。
でも、これだけでは正直よく分かりませんね。某番組のADさんから制作フローをまとめたものを貰ってきたので、ご紹介しておきます。大まかなものですが、番組制作の基本的な流れがつかめると思います(もちろん、こうした制作過程を踏まない現場もあります。たとえば、弊社ではDVDでの映像作品なども制作しておりますが、こうした場合だと工程は以下のものとは変 わってきます)。
企画
↓
台本・構成打ち合わせ
↓
技術打ち合わせ
↓
出演者打ち合わせ
↓
ロケまたはスタジオ収録
↓
オフライン
※主に撮影した素材から、使いどころを決めてCUT同士をつないで尺にする
↓
オフライン試写
※映像を見ながら、修正点を検討して再編集する
↓
オンライン
※ここでの主な作業は、
1)白素(クリーン)を作る
2)映像にエフェクトをかける(CG合成・ワイプ加工など)
3)テロップを入れる
4)看板やカラーバーなどの放送に対応する記号ラベルを入れる
↓
オンライン試写
※映像を見ながら、テロップ等々の確認・修正点を検討して再編集する
↓
MA
※ここでの主な作業は、
1)音声ノイズチェック
2)音響効果入れ
3)ナレーション入れ→すべての音をミックスする
ここでの最終の完成試写をして、局へ納品
と、以上です。こうして文字に起こすと不思議な感じがするのは、撮影それ自体は全体の中のひとつに過ぎないところです。でも、企画から始まって打ち合わせを経て撮影があり、さらにその後の編集作業に至るまでの流れのどれかひとつが上手く回らないと、それはそのまま作品の出来にまで影響してしまいます。そこで縁の下の力持ちとしてADさんたちが必要とされるのです。
次回はこうした流れの中でどういった仕事を具体的にしているのかを、ご説明したいと思います。
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