7月某日。久しぶりにターシャに会いに、アメリカ・バーモント州を訪ねた。
ターシャ・テューダーという91歳になる女性は、絵本作家としてアメリカではよく知られている。古きよきアメリカの生活にこだわって生きている彼女はライフスタイルそのものがアート…。いつか、そんな彼女の暮らしを番組にしてみたいと思っていたが、昨年思いがけず実現の運びとなった。
それにしても私は、若いときから非常にシンプルな考え方で、番組を作ってきたと思う。それは「“見たい”と思うテレビ番組を作る」ということ。テレビ番組というのは、自己表現の場であるとは思わないし、番組制作者というのはアーティストではないと私は思う。テレビ番組は“見てもらってなんぼ”の世界だと。
2年前、ターシャの出演了承をもらったときは、とても嬉しかった。それは、“ターシャの番組を見れるんだなー”と思ったから。(完全に一視聴者だ!) そして、日本中にいる大勢のターシャファンの皆さんに彼女が今も元気に暮らしている姿を伝えられるとワクワクした。
番組の放送後に視聴者のみなさんから大きな反響をもらったときにはほっとした。
もちろん話題になる番組を作れば、まわりからは賛否両論いろいろなことを言われる。
だけど、私は自分のシンプルな考え方を大切にしていきたいと思う。エライおじ様方のご意見もふむふむとは思うが、それよりは私たちが作った番組をお茶の間で見て下さる沢山の視聴者の方が感じてくださったことこそが私にとって一番大事なこと。
これからもアンテナをブンブンとはりめぐらせて、みなさんが“見たい”と思うものは何か、を大切にしたいと思った次第。
ところで…
ターシャが再会の握手後、開口一番に言ったこと。
タ「あなた、犬を飼っていたかしら?」
私「いいえ」
タ「あら、さびしいわね…庭はやっているの?」
私「いいえ」
タ「…何のために生きているの?」
という訳で、ターシャと新しく企んでいることは、また今度、詳しく書くことができるタイミングで!