ジベッロ/エミリア・ロマーニャ州 2月24日(日)からは…
イタリアの北部を流れるイタリア最大の川、ポー川。ポー川が作り出した広大な平原の真ん中に、物語の舞台・ジベッロはある。ジベッロは、秋から冬にかけて濃い霧に包まれる。全てのものが柔らかい乳白色のベールに包まれ、うすもやの中で村人たちは暮らしている。この村の暮らしは、ポー川と霧とは切っても切れない生活だ。
*ポー川を守り続ける男がいる。農夫のシルバーノだ。彼は、父親から受け継いだ大切な農地を守るためにポー川の監視を続けている。増水する季節になると毎日のように川の水量などをチェックする。川は農民にとって生命線なのだ。だが、彼とポー川の関係はそれだけではない。妻との愛を育んだのもポー川なのだ。シルバーノの人生と暮らしのすべてはポー川の流れとともにある。
*そして、ポー川が育んだ味を大切にしている女性がいる。トラットリア店主・ミリアムだ。彼女の店は、100年以上続く伝統あるトラットリア。ひいおばあちゃんの頃から代々、女性が中心になって店を守ってきた。料理はすべて、飾らない家族の味だ。ここには世界中からたくさんの客がやってくる。彼らの目当ては“クラテッロ”というこの地でしか作れない極上の生ハム。この味を作り出すために欠かせないのがポー川の霧だ。ポー川とともに生きる村人たちの物語。
霧のベールの向こう側にある、村人たちの素朴な日常を見つめます。